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「個」のサステナビリティで創る未来

監査法人アヴァンティア
法人代表 小笠原 直

小笠原 直
栃木県出身。1989年一橋大学卒業。現みずほ銀行、太陽監査法人を経て2008年に監査法人アヴァンティアを設立・法人代表に就任。

監査法人アヴァンティア

成長するミドルサイズの上場企業への監査を目的に2008年に設立された「日本を支えるベンチャー監査法人」。上場クライアント数・売上規模で業界トップ10入りを果たした。2023年より、PROJECT any法人共創パートナーに参画。

法人共創パートナーである監査法人アヴァンティアの法人代表 小笠原様に、プロジェクト・エニーへの参画理由やご自身のキャリア・軸について伺いました。

――まず、小笠原さんの軸を教えてください

「義を見てせざるは勇無きなり」
何かを見て、正義の心をもって、これはやらなければならない、と感じたときに行動を起こすというのが私の軸です。


アヴァンティアが創業する前は、業界大手の監査法人が解散したことで上場企業の多くが監査契約先を失い、「監査難民」という言葉が生まれました。もちろん、上場企業は監査契約ができないとそのまま上場廃止になってしまいます。公認会計士の仕事は上場企業の決算書を監査し投資家に伝える仕事であるにもかかわらず、誰も契約しないということは業務放棄ではないか、と感じました。この状況は見過ごせないと思い、大変な思いをされている会社を1社でも多く、専門家として支えていかなければいけないという根源的使命から創業に至りました。

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――続きまして、PROJECT anyへの参画理由について教えてください

当社が掲げる「個」のサステナビリティがPROJECT anyとシンクロして、参画を決めました。

先日、演劇の演出家の話を聞いていて、なるほどと感じたことがあります。
私達は、イスラエルとハマスの武力衝突やウクライナ戦争など、どこか他人事のように見ていますが、日本もここ100年の間に数回世界と大きな戦争をしています。
ただその方が言うには、日本はそのうちの一度たりとも、カリスマ的なリーダーシップから実行したことはなく、トップダウンではなく下からの全体主義で戦争に至っているそうです。これはとても重要なことで、今の日本も「仕事にやりがいがない」、「生きがいがない」という声をよく耳にしますが、最大の問題は、同調圧力が強いこと、なのです。


同調圧力が強いがために自分の意見が言えない、思い切った行動が取れない、いつも周りの空気を見なければいけない。これが下からの全体主義につながっています。コロナ禍のときも、必要以上に自主警察やら自粛警察といったものがありましたが、日本は今でもそのリスクをはらんでいるように思えます。

 

こうした状況の克服には、やはり「個人」が人間としての知性を持ち、そこから自身の価値観を持つことが必要なのではないでしょうか。個々人が確立した価値観を持つことで他者の価値観を受容することできます。この「個のサステナビリティ」がバタフライ効果のように「組織のサステナビリティ」になり、「政府や国家のサステナビリティ」につながり、国家の平和や安定につながるのです。
要するに、1人1人国民の心がけなのです。
私たちが叶えたいと思う社会を実現するためには必要なことなのではないでしょうか。

アヴァンティアでは創業以来、倫理観・正義感を持った専門家人財を育て、組織の中でも議論を酌み交わして同調圧力に屈しないようにしてきました。


そして昨年、PROJECT anyとご縁をいただき、これはまさに私たちが志す理念に共通すると感じ、参画を決めました。

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――PROJECT anyをどのように成長戦略に活かされていますか?

先述の通り、「個」のサステナビリティを掲げる当社と、それを社会人6.9人で社会を巻き込み育て上げようとされるPROJECT anyは通ずる部分が非常に大きく、参画を決めました。


学生ながらに「こう在りたい」という軸を強く持ち行動しているany学生起業家と、当社の若手社員がチームを組み資本政策立案を行うワークショップでは、経営者と対峙するソーシャルスキルやコンサルティングマインドを養える貴重な機会となっています。昨年実施したイベントでも、参加した社員は彼らと交流する中で触発される部分が多分にあり、継続的な開催を決定しました。


PROJECT anyのコミュニティから、将来的に、社会に大きな影響をもたらす経営者が出てくると確信しています。

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――学生へのメッセージをお願いします

学生を見ていて感じるのは、から破りな人が減っている、ということです。


会計士としての今の主流は大学に入って1年時から勉強を始めて在学中の合格を目指し、そのまま大手に行く、という流れが多いかと思います。合格時は充実しているかもしれませんが、社会人になり数年がたつと、なんとなくわかったつもりになり「若い気持ち」を失い、「やっても仕方ない」、「これくらいでいいや」と周りと合わせて「老け込む」人を多く見てきました。率直に、もったいない、です。

日本では場の空気があり、そこに支配されることも多いかもしれませんが、それでは社会を変えることはできませんし、自分の人生を豊かにすることも難しいでしょう。
 

だから、学生の皆さんに一つお願いしたいことがあります。
 

それは、残り少ない学生生活を仕事だと思って思いっきり遊べ、ということです。
さんざん遊んだ後の仕事は仕事で没入せよ。


何かわかったつもりになり人生を過ごしてしまうと無為に時間を消費し、あっという間に3年が経ち、変に諦めなどを覚えてしまうぞ、と。そうならないためにも、たくさん遊び、苦しくなったときに支えになるようなことを一つでも経験してほしいです。これは遊びとも言えますが、のちの仕事に繋がるという意味では仕事かもしれないですね。学生時代には、無謀なことも含めて最大のリフレッシュを積むことが大事です。

――詳しく教えてください

今後の人生で、仕事で行くだろうところではなく、今しか行かない・行けない場所で様々な文化・価値観に触れられる経験をしてほしいです。

私の場合は、1ヶ月間の中国放浪と、3ヶ月間のアメリカ滞在の経験が今に生きています。

――中国では何をされたのですか

1980年代終わりに行きと帰りの乗船券だけを予約して、1か月間滞在しました。到着してからは何も予定がないので、北京やら西安やら目的地を決めてそこからは電車移動が57時間とか。

今の年になって、50何時間も同じ電車で移動はさすがにできないですよね。

ただ、ずっと同じ電車に乗っていると、隣の人と親しくなるわけです。中国語もあまりできませんでしたが、筆談をしていると徐々に気持ちが通じあって、おなか減っているだろう、のどが渇いているのではないかと、梨をくれたり、ゆで卵をくれたり。でもその卵をくれた方はシルクロードから乗り込んでいて2日前の卵なのではないか、大丈夫なのかな、なんて。(笑)

いただいたお礼にウォークマンで音楽を聞かせてあげると、ものすごく感動してくれて。

 

旅先で体調を崩したときには、口にギリギリ入るような大きな漢方を飲んで、1日くらいずっと発汗していましたが1日で治ったり、凄く仲の良い友人との旅行でしたが、しょっちゅう喧嘩したり。

こんな経験は学生のうちにしかできないですし、社会人になって得られる感覚とはまた異なります。いろいろな意味でタフになります。

北京に行くと、日本はすごく人気なのだと気づきます。ちなみに当時の中国はバリバリの共産主義国家なので、みんな人民服に人民帽です。北京は教育水準が高いため、「日本は資本主義国だな。俺たちは共産主義国だ。違いを教えてくれ」と聞かれました。共産主義と、資本主義、さらには自由主義という言葉もあり、日本語でもなかなか答えられませんでした。その日の晩に友人と反省会をして、翌日、天安門にリベンジに行ったことを覚えています。

 

アメリカに滞在している時にも同様のことがありました。滞在中に、昭和天皇が崩御されました。宿泊先の近くで飲んでいると、アメリカ人が近寄ってきて、「エンペラーヒロヒトはお前にとってどういう存在なのだ?」と。これまた、通り一遍の答えじゃ全く相手が納得せず、しまいにはこいつはわかってないなという感じで引き上げて行きました。

 

 

日本にいると触れられない異なる価値観・文化から視点から質問をもらうので、視点が増えます。こうしたその時・その場所でしかできない経験をしてほしい。

こうした体験を経ると、社会人になっても多様な視点から物事を考えられるようになります。

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――PROJECT anyでは、多様なバックグラウンドを持つ個人が世界中から集まりディスカッションを行います。自分の中の当たり前や常識、観念を顧みる機会となっています

とても重要な取組みだと思います。お互いが自分の価値観を持ち、言語化できないと、違う価値観をぶつけ合う度量は生まれません。やはり自分を磨かなければいけない。ぶつけられる自分の信念や想い。それを作り上げられる過程としてすごく大事です。

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――会社のビジョンを教えてください

ありがたいことに直近3年は年率20%超の成長を実現しており、当初2030年までと掲げた目標を2026年には到達できるスピードです。2030年には社員数も増え、300名くらいになると計算しています。私の夢は、そのころには、新しいリーダーが、自らリスクを取り自立する、「自主独立」を掲げて独立する、そしてアヴァンティアはそののれん分けを支援することで、このアヴァンティアの精神を育み広げていくことです。そのことが個人、組織、業界の発展に資するものと期待して、その実現に邁進していきたいです。

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「AVANTIA2030」より抜粋 

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