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「新たな視点」を持つ学生との協働が、コンテンツの未来を切り拓く。 〜株式会社テレビ東京様インタビュー〜


(株式会社テレビ東京 総務人事局長 松澤様)
(株式会社テレビ東京 総務人事局長 松澤様)

数々の挑戦的な番組で、独自の存在感を放ち続ける株式会社テレビ東京。同社は「多様性」こそが持続可能な組織と良質なコンテンツを生み出す源泉であると考え、社内外の垣根を越えた人材との協働を積極的に進めています。


今回は、株式会社テレビ東京で執行役員総務人事局長を務める松澤様をお招きし、同社がなぜ採用の枠を超えて「PROJECT エニー(以下、エニーという)」と協業するのか、その背景と展望を聞きました。


目次



「多様性」がサステナビリティの源泉。社内外の垣根を越えた出会いの先に

――テレビ東京様が考えるサステナビリティ戦略についてお聞かせください

テレビ東京は、“公共性のあるメディア”として、きちんと社会と向き合っていく責任があると考えています。地球環境のこと、人権、多様性、地域や人とのつながり… サステナビリティの考え方は、実は私たちが普段やっている“コンテンツづくり”とすごく似ています。


CO₂の排出量は、すでに実質ゼロを達成していますし、人権セミナーは年間5回、取引先とのサステナビリティ調査も定期的に実施しています。あとは、番組の中でジェンダーや環境のテーマを扱ったり、地域の魅力を発信したりと、「メディアだからできること」も大事にしています。何か特別なことをするのではなく、“きちんと したメディアであり続けたい”という思いがあります。


こうした会社全体の戦略がある上で、総務人事としては「社員が長く安心して働ける環境をいかに用意できるか」がサステナビリティの根幹だと考えています。そのために最も重要なのが「多様性」です。性別や国籍、様々なバックグラウンドを持つ人たちと協働することで、コンテンツ作りの多様性を担保していく。これが、人事におけるサステナビリティの本質です。


社内の人間だけで集まっていると、どうしても視点が偏りがちになります。だからこそ、サステナビリティ推進委員会の場だけでなく、各部門が独自に、世の中を良くするために何ができるかを考える必要があると思います。


――具体的な施策について教えてください

最近の試みで言うと、「相互副業」というプロジェクトに参画しました。大手28社が集まり各企業がそれぞれ求人し、他社からスキルを持った社員を相互に受け入れる試みです。マッチングした社員は、実際には数か月間、その企業で副業者として働く事が出来、同様に弊社に来てくれた他社社員も多数いらっしゃいます。同制度を通じて自社だけでは得られない実践的な学びを得ることが出来ました。

また、AIとグローバルビジネス、クリエイティブの3領域で先進的な学びを得られる企業内教育機関として「テレ東カレッジ」を26年度の開校に向け準備を進めています。こちらは、グループ全社員を対象とする講座だけではなく、自主性のある人から選抜を行い、大学で言う少人数ゼミのような、企画力などが鍛えられる道場のようなものを目指しています。これまでは、マネジメント研修やコンプライアンス研修といったリスキリング機会は充実している一方で、会社の業績に直結するような学びの機会が不足していると感じていました。テレ東カレッジを通じて各界の第一線で活躍している講師の招聘も検討しており、社内外問わず協働できる環境の中で、会社に入った後にいかに成長できるか、という選択肢を社員に対しては今まで以上に示していきたいと考えています。


――そうした「多様性」という文脈で、エニーとの取り組みが始まったのですね

その通りです。私たちが普段接する大学生は就職活動中の方が多いため、そうした場面ではどうしても「テレビが好き」「テレビ東京に入りたい」という強い意志を持った学生と向き合うことが多くなります。もちろんそれは非常にありがたいことなのですが、「道を誤らない」ためには、いい意見だけではなく、忖度のない多様な意見に触れることが不可欠です。

就職活動に結びつくような向き合い方だと学生の本音はなかなか聞こえてきませんが、エニー生の皆さんはより広い興味を持ち、必ずしもテレビ業界を第一志望としているわけではないため、忌憚のない新鮮な視点や意見に触れることができます。この「社外の多様な視点」との出会いが、我々の目指すサステナビリティに繋がると考え、初年度から参画を決めました。


AI時代の採用

――エニー生との出会いにどのような可能性を感じていますか

エニーを通じて出会う学生の皆さんは、その多くが同業界やテレビ東京への就職を考えていない人たちで、学修意欲や好奇心が旺盛な学生が多いように感じます。

これからの時代、単純な情報処理や作業はAIに代替されていきます。そうなると、人間に求められるのは、AIが生み出した無数の選択肢の中から、本質を見抜き、独自の価値をプラスできるセンスです。

キャリアを持つ人材が経験を武器にする一方で、これからの時代にこれまでの経験値が通用するのか不透明な時代だからこそ、学生の皆さんは、まだ何色にも染まっていないからこその「素直さ」と、何にでも挑戦できる「フットワークの軽さ」が大きな武器になります。

センスとは、長い時間をかけて多様な経験の先に価値観を醸成し、当人しか持たない独自の考え方を付加価値にできるか。流行は、多くの人がそれほど違わず感度を持ちやすく、それゆえに流行に乗るだけではコンテンツ制作で個性を出すことは難しいと言えます。そこに「引っ掛かり」みたいなものを付加するためには、その人が独自に持つ「何か」を注入しないといけません。

『家、ついて行ってイイですか?』を企画した制作者は、お金持ちや成功者ではなく、人生の悲哀を家の中の取材だけで切り取るという、彼が生きてきた中で引っ掛かりになるものをうまく番組の中に入れたから唯一無二のコンテンツになったのでしょう。

全体の8割が共通の枠組みだとすれば、残りの2割が個人のこだわりやセンスにより結果を左右します。


エニー生の皆さんは、様々な機会に積極的に 挑戦しているため、新たな可能性を秘めていると感じます。固定観念に縛られず、自分の考えを臆さずに発信できる。そうしたセンスある個人と出会えることは、長期的な採用戦略においてメリットがあると考えています。



――AIの台頭によって、候補者との出会い方は、変わってきますか

大きく変わると思います。クリエイターをはじめキャリア採用に関しては、すでに通年採用をしていますが、新卒に関してもそういう流れが来るかもしれません。

またホームページなどの媒体だけではなく能動的なイベントを通じてこちらから積極的にアプローチする重要性を感じています。

テレビ東京としては、2年前にTech系の学生を対象にした「FU×TECH(Future×Technology)コンテスト」という採用イベントを開催しました。テレビ東京の課題をテクノロジーで解決するための企画を募集し、ファイナリスト10名は社長を含めた役員の前でプレゼンテーションしてもらうというものです。優勝者には必ず内定を出すと打ち出したかなり攻めたイベントでしたが、実際には今年4月に当イベントの優勝者を含む3名の参加者が入社しました。テック業界を目指しテレビ業界を選択肢としていなかった学生に対して、説明会のみならず、当社側から独自のアプローチをすることの重要性を感じ非常に熱量の高い採用イベントになりました。


数年前に当社を退職した佐久間宣行というクリエイターとは、今も会社として契約をして番組やイベントを一緒に作っています。辞めたから関係が終わるのではなく、社内にいても社外にいても、様々な協働の形、雇用形態を柔軟に模索していく必要性を強く感じます。


このように、「テレビが好き」という入り口だけでなく、様々な角度から我々の事業に関心を持ってもらう機会を増やしています。エニーとの取り組みも、その重要な一環です。テレビに強い興味がなくても、「世界でこんなことをやってみたい」という学生の想いと、我々の未来像が重なるならば、ぜひ仲間になってほしいと考えています。



出会いから「共創」へ。エニー生と取り組む事業課題へのアプローチ

――エニーとの3期目の今年は、これまでとは異なりアメリカ現地にいるエニー生と共に「グローバルIPプロジェクト」というアメリカ人のメディア視聴動態のリサーチプロジェクトが始動しています。こちらの導入背景について伺えますか

はい、今年度はアメリカにおけるグローバルコンテンツのリサーチをエニー生と共に進めています。当社が力を入れているアニメ・ドラマ・バラエティのうち、アニメはずいぶんと前から北米・アジアなどに進出している一方で、ドラマとバラエティはなかなか海外進出できていない現状があります。

近年、ドラマに関してはネットフリックスなどのストリーミングサービスを通じて徐々に拡大してきていますが、バラエティは依然苦戦を強いられており突破口を模索しています。バラエティは、クリエイターが様々な企画を考えているのですが、その根拠となるマーケットリサーチが不十分な状況です。なので、まずは現地のリアルな声をクリエイターに知らせる必要があると考えていたときに、結論ありきの調査レポートではなく、定量データだけでは把握しづらいZ世代の動向に着目している エニーに依頼をさせていただきました。その結果が、厳しいものだとしてもそうしたアウトプットは事業を進める上で非常に有意義だと考えました。

現在も進行中のプロジェクトですが、私たちが抱える事業課題に取り組むプロジェクトとして動いており、学生と協力して進めるビジネスの一環として関わらせていただいています。


――最後に、この記事を読んでいる学生の皆さんへメッセージをお願いします

これから社会に出る皆さんに伝えたいのは、「どの会社に入るか」も大事ですが、それ以上に「誰と、何を面白がってやるか」を考えてみてほしい、ということです。そのためには、学生のうちから食わず嫌いをせず、様々なことに挑戦して、自分なりの価値基準や「好き」という感覚を磨いてください。社会に出ると「好き」という感覚を言語化し、カタチにできる人が、結局強い。

テレビ東京は、若い才能が持つ、予測不能な化学反応を求めています。我々がまだ知らない視点で、一緒にコンテンツの未来を拓いていける日を楽しみにしています。



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株式会社テレビ東京

執行役員 総務人事局長 松澤潤様

明治学院大学文学部仏文科を卒業後、1991年にテレビ東京に入社。以後制作局にて数々のバラエティ番組等を担当し、2022年4月1日より制作局長を務め、2023年4月1日より、同社内では初となる、制作局長から総務人事局長に抜擢。2024年6月20日より執行役員に就任。



会社情報

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株式会社テレビ東京

開局

1964年4月12日

資本金

89億1,095万7,000円

従業員

794名(2025年3月31日現在)

事業内容

放送法によるテレビジョン放送事業、放送番組の制作・販売、ライツ事業、デジタル事業、文化事業、その他放送に関する一切の事業。


 
 
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