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企業の人的資本の拡充に
プロジェクト・エニー

コーン・フェリー日本法人 特別顧問
Seno Teruo

一人目のオフィシャルパートナーのコーン・フェリー・ジャパン(株)特別顧問の妹尾輝男氏に、いま求められているリーダーとこれから必要な教育、企業のかかわりについて聞きました。

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妹尾 輝男

1975年、横浜国立大学経営学部卒業。スタンフォード大学経営大学院卒業(MBA取得)後、ベイン・アンド・カンパニーでコンサルタントに従事。その後、コーン・フェリー日本法人代表取締役社長・会長を経て現・同社特別顧問。全社会人6.9人で1人の若者を支え、anyを届けるという発想の転換に、これからの教育の新しい可能性を感じ、2022年5月、anyのオフィシャルパートナーに就任。

anyパートナーとなった経緯

2点あります。まず1つ目は、社会的なインパクトがあるということです。様々なインパクトがある中で、人材の仕事は身近でとても大切なので、そこにスポットを当てているというのが1つ。

もう一つは、若い方に焦点を当てているところ。これはすごく大切です。私自身、新任役員のアセスメントやコーチングを提供する中で、受け手からもっと若い時に受けたかった、という声をよく耳にします。会社の中では比較的若い部類の部長・課長に提供した際も、やはり、若い時に知りたかったという声を頂戴します。そうすると、やはり社会人になる前から自分軸を持つことがすごく大切だということになります。個人が軸を持つことは、企業にとっても個人にとっても大切なことです。anyはいち早くそれを実現しているのを知り、パートナーになることを決めました。

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「悪ガキ」型リーダーの特徴

—— anyは「自分軸」を作ることで自律型人材を養成する教育カリキュラムですが、妹尾さんから見て「自分軸」がある人とない人の違いはどんなところにありますか?

コーン・フェリーは、グローバルエグゼクティブを対象としています。その中でも、「自分軸」を持ち、自分のやりたいことをやっている人が世界を席巻しています。具体的には、GAFAMのような先端を行っている企業です。そういった企業のリーダーを見てみると、以前のリーダー像と随分異なることが分かります。昔は頼れるおやじのような「人格者」といったリーダー像でしたが、今は固定観念にとらわれずやりたいことに突き進む「悪ガキ」タイプに変化しているのです。

 

日本のグローバル企業を見ると、遅ればせながら、グローバルで自分の主張があり、やりたいことをやり、しかし協調することができる人が求められています。最近は起業家も多いですが、リーダー像は大きく変わってきています。ユーチューバーも含めて、今稼いでいる人の多くは、「自分軸」を持ち突き進められる人だと言えます。

 

また、コーン・フェリーでは東証プライム上場企業の役員をアセスメントすることがよくありますが、そこで求められるものには、常に「いかにグローバル化するか」があります。それは会社がグローバル化するということですが、同時にリーダー自身がグローバル化しなければならないということでもあります。リーダーがグローバル化することで、多様な価値観を受け入れられるが、一方、ただ受け入れるのではなく、「自分軸」を持つことがより必要になります。「自分軸」がなければふらふらしてしまいます。なんでも言われた通り受け入れると、結局「あの人は頼りにならない」となります。「自分軸」がありつつ、他者の意見も取り入れるということです。今の大企業の中でも、そういう人を将来の役員にしたいという話が当然のようになされます。

グローバルに活躍するビジネスマンに求められる3つの要素

—— 世界で活躍している一流のビジネスマンとはどのような人ですか?

やはり、一つは「自分軸」があり「自律」しているかどうか、です。近年では利害関係者も多くなり、価値観も多様化する中で何かを成し遂げるためには、「自分軸」があるという人でなければ、付いて行くに値しない、ということになります。それは大企業のトップにも未だに求められるものです。就職活動中の学生であっても、軸のある・ないでは、とても差を感じます。

 

もう一つは、「変化に対応できるか」です。どのような企業でも激変する環境の中でグローバル化しなければならないため、特に重視されるようになりました。

 

上述の通りですが、1点目と2点目は深く関係しており、「自分軸」がなく「自律」していない人は簡単に流されてしまい、変化に対応することはできません。また、「発信力」はすごく大切です。優秀なビジネスマンは多くいますが、ビジョンを上手に発信できる人はそれほど多くいません。しかも強い影響を与えられるとなると、さらに数は限られます。世界中で、活躍している人材を探していますが、その際には自律、変化への対応、発信力が大きなポイントになっています。

—— それらはどのように見分けるのですか?

共通しているところはあるのですが、それをあえて表現すると、「悪ガキ」という言葉になります。「悪ガキ」とは、既成の概念にとらわれないということ。例えば、パっと会ったときに人間関係がフラット。昔の経営者は上から目線で、会うとこちらが委縮してしまいますが、私の知る新しいリーダーは皆フラットです。若い人に対しても、「なんか面白いことやっているね」とか、反対意見に対しても、「なんで反対するの?教えてよ」と非常にフラットに接します。彼らは自分に自信があるから人の意見を聞きたいし、肩書や話し方で威圧する必要がないのです。

 

あとはフットワークが軽いことも大切です。フットワークが軽い人は、自分がこうだと言っても、違う人の意見も素直に取り入れます。部下からすると大変です。昔のように、一言言ったらそれをずっとやり続けるのではなく、今朝言ったことも「やっぱりやめよう」となることがあるので。そうするとリーダーといえども可愛げのある人かどうかが大切になってきます。一見怖いけど、周りに迷惑をかけていることをその人自身が分かっており、皆には付いてきて欲しいと必死に考えているので、周囲の人から見るとなんとも言えず可愛げがあります。

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自分軸を見つけるために必要なもの

—— 妹尾さんご自身は、どのように「自分軸」を見つけられたのですか?

人の意見ではなく、自分で考えることです。私が学生のころは、世の中的にも、学生運動があり、いずれ受験しようと思っても、受験が中止になったりする時代でした。価値観が大きく変わる時代でもありましたが、友人の多くは「それほどたいしたことではない」と考えていたようです。しかし、私は「これはすごい変化だな」と思い、とにかく現実をいろいろ知りたいと思いました。日本にいると、よく評論家が欧米の例を持ち出して日本はまだ遅れていると言うことが多かったのですが、私はその多くに疑問をもったので、自分で行って確かめたいという気持に駆られたのです。安定を求めることは捨て、やりたいことをやり、好きなことで成功したいと思っていました。

 

また、刺激的な友達に巡り合ったことも大きかったです。新宿高校の同級生にはユニークな人材が多く、例えば、音楽家の坂本龍一氏がおり、仲良くしていました。彼は当時から世界的なミュージシャンになることを決め、着々と前進していました。刺激的な友達から学んだことは、周りの言うことはあまり真に受けないということです。彼らは、自分に自信があるから周りの言うことを聞かないのですが、自信がなくても、周りの言うことをあまり気にせずやりたいことをやるということは、発見でした。だから、周りの空気に流されないとか、いい大学に行って、いい会社に就職できれば、一生幸せだよ、と言うようなことをそのまま真に受けず自分は何をやりたいのかを真剣に考えてきました。そしてワクワクすることを、どんなにくだらなくてもまずは見つけることが重要でと思い至りました。自分の好き、嫌いなどの感覚をすごく大事にしてきました。

—— 自分の心の声、インサイトをしっかりと拾い上げていた、大事にされていたということですね

そうですね。例えば、子供の時に感動した記憶は今でもよく思い出します。ワクワクした経験は、なぜあんなに楽しかったのかを考えると、好きなことやってたんだなとか、友達は大事だよなとか、ときどき思い出して、だったらこうしよう、とやることを決めたりすることは今でもあります。若い人は私よりも子供時代が近いので、その時の感じ方を追体験したり、人に話したりすることがもっとできるはずです。ぜひやってみてください。私は、たまたま刺激的な友人や映画との出会いで、そういった部分を自分で掘り下げていきましたが、メンターがいればさらに効率できるはずだと思います。自分は何を大事にしているのか、どういう言葉が刺さって、どういうものにワクワクするのかをメンターと話す中で気づくことがとても大切だと思います。

 

「自分軸」というのは、難しく考えるとわからなくなりますが、まず好き・嫌いを大事にすることです。納豆が体にいいか悪いかはリサーチの結果次第です。あるリサーチではタンパク質が多いから良い、あるリサーチだとカリウムが多くて血栓ができるのでやめたほうが良いというかもしれません。これは永遠の議論です。ただ、「私は納豆が好きだ」というのはファクトであり、常に正しいことです。私が好きだと言えば、それが正しいのです。なので、海外では「謎の自己肯定感」を持った人によく出会います。彼は自分の好き・嫌いという「常に正しいこと」を言っている世界に住んでいるのです。自分はこれが好きだからしようがない、そんなところから始めると話はシンプルになります。自分の好き・嫌いを正直に認識して、それを上手く表現するところから自分軸を持つことは始まります。

—— anyでは、妹尾さんが自分軸を見つけるために経験されてきたようなことを体験できるプログラムがあります(同世代の刺激的な仲間とディスカッション、マンツーマンでメンターと話す機会)。anyのような場所があれば、自分軸や自律型人材を養殖できますか?

はい、できます。私は偶然の重なりでこうなり、私自身変わっていると感じていたので、周りの人にそれを強く勧めることがはありませんでした。しかしコーチングを提供する中で、意外にこうしたものを必要だと感じている人が多いことに驚きました。であれば、自然にそうなるのをただ受け身で待つのではなく、積極的にこうしたことを求めることを励ましたり、その機会を提供したりすることが重要だと、最近になって確信しました。

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日本とアメリカ教育の大きな差

—— 最近マスク論争があります。マスクをすべきかそうじゃないか。海外ではそういった判断を各人が行いますが、日本は国や立場が上の人の言うことを聞く国民性があります。ここに自分軸がなくても生きていける環境があると感じます。

国も明言しているわけでもありません。法律で罰せられるわけでもありません。単に推奨するだけで、すごい効果が出るのは周りからの同調圧力があるからです。それには、いい面もありますし、怖い面も持ち合わせています。

—— そうした国民性に関連した質問です。妹尾さんは横浜国立大学でも講義を担当されていますが、日本の義務教育をどのように感じますか? 

日本とアメリカの教育を比べると大きな違いがあります。私は日本の大学卒業後、一度仕事をして、その後30代前半でMBA取得のためスタンフォード大学院に行きました。そこでは常に、日本の大学との違いを感じていました。

 

日本は戦後、いいものを大量に作る規格大量生産を行うことで世界最貧国から第2位までごく短期間で上り詰めました。その中で物分かりが良く、周りと協調して組織の中でうまく調和する人を育てるということを目的に教育をしてきました。そして、それは成功しています。

 

ただ、今は日本自体のマーケットも小さくなり、消費者の好みも多種多様。技術もどんどん変わり、規格製品を大量に売るのではなく、独創的なものや、消費者の欲しい個性的なものを作って届ける能力が問われています。そうすると、今までの教育は残念ながら足を引っ張る存在です。今までは正解のある世界で、こういう製品が良い、早ければ良い、安ければ良い、そういうものを追及するための基礎学力として、暗記力や協調性を教えていたと思います。それは理にかなったことだったのですが、今や、それだけでは足りない時代になりました。

 

アメリカの教育を見ると、産学協同が歓迎されない日本とはことなり、大学と企業に結びつきがあります。アメリカでは、教授が企業から資金提供を受け、研究して企業に役立てるというコラボレーションが盛んなのです。一方で学生も、どの教授の授業を取りたいかで、授業を選択します。人気の教授は厳しい先生が多いのですが、落とされるのを覚悟で受講するひとが圧倒的多数を占めます。日本企業から派遣されて来る日本人は、どの教授・授業が楽に単位を取得できるのか、その情報を収集します。与えられたものをこなす教育ではなく、自分がいいと思った教授を選べるし、教授は学生からの評判と自分自身の研究成果によって評価を受けます。ぼーっと受け身でいる人はいい大学では全くいません。そんなところにも、日本とアメリカの教育の大きな違いが見られます。 

 

けれど、日本の教育は、これまでは、たまたま経済的に意味を成してきたので、反省されることがありませんでした。どんな社会においても、同調圧力が強すぎると弊害が出ます。10人いて10人が賛成する案は、多くの場合、失敗します。10人いて何人かが反対する。それを説得してようやく決めるプロセスに意味があります。何となく皆がいいんじゃない、というものは、大体失敗します。

—— だから海外ではディスカッションが大事なのですね

はい。ただその際に、「自分軸」がない人が集まり、ディスカッションしても意味がありません。軸がない人が会議やミーティングの場所にいても、意見や立場が確立しておらず、仕事ができる人とは認識されないでしょう。

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人的資本×サステナビリティの拡充につながるany

—— anyは、企業や個人から支援を募り、学生が奨学制度を活用することで無料で受講できる、日本初のモデルです。現在、日本社会全体で一人の若者を育てることを目的に、CSRの取組の一環としてanyに協賛していただいています。

これから企業が生き残るためにCSRはどれくらい重要になってきますでしょうか?

CSRという言葉が独り歩きしていて、考え方がバラバラになっており、ボランティアみたいなイメージさえあります。ただ私は、利益を犠牲にしてやるものは長続きしないと思っています。そのため、利益追求と矛盾しない形でやるべきだと思うのですが、そもそも「利益」という概念が変化してきています。今日の利益というのは、アメリカの資本主義で言うと、株主のためなのですが、近年、「ステークホルダー」の考え方が拡大しています。株主以外にも様々なステークホルダーがいることを考えた上で、企業は利益を捉えなおさなければいけない時代です。また、タイムスパンも四半期、1年という単位ですが、より中・長期的な利益を考えなければなりません。そういった考えが重視されるようになると、次第にそれが法制化されたり、企業イメージに繋がる部分もあります。結局それらは中長期的な幅広い関係者に対する利益の向上に繋がっています。ボランティアでやるというのではなく、起業家長く発展していくために欠かせないことの一つとして真剣に考える必要があります。

 

近年、企業の格付けに「人的資本への投資」が組み込まれ、それに伴い、人的資本への投資に関する情報開示が求められています。人を育てることは大切だよね、企業は人だよね、という定性的なものではなく、企業の格付けに影響し、そこから資金をどれだけ集められるかというビジネスに直結したものだという観点を持つことが非常に大切です。

 

日本は教育が盛んだと思っている人が多いのですが、それは一種の伝説で、今日の日本企業の人材育成に対する投資は先進国の中でも最下位です。また、教育というのも、短期的にはITの知識の習得などになるのですが、長く見ると先ほどの議論で言う「自律性」をどう高めるかや、変化へどう対応するかなど、そういう深い内容のものが企業にとっても大事になります。これらもCSRの重要な要素です。

—— これから、人的資本への投資の取組としてanyを活用される時代がやってきますね。

そうですね。anyを使ってないと「開示した時にまずいかもしれないですよ」と言えるようになるといいですね。anyを使っていると人的資本の拡充にものすごく投資している会社だと、そういう高評価を得られるというところを目指して行くべきだと思いますね。

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