【マメ知識】米国上場企業の人的資本の情報開示義務化の背景を考える

2020年に、米国証券取引委員会(SEC)が上場企業に、人的資本に関する情報開示を義務付けました。企業格付けの判断材料として、「ヒト」に関する指標が組み込まれたことになります。なぜ非財務指標の「人的資本」が企業格付けに重視されることとなったのか、その背景について学びます。


ステークホルダーの拡大

社会と共に生きていく、サステナブルな社会づくりは世界的なテーマです。そのために、アップルなど米国の主要企業200社弱が名を連ねているビジネス・ラウンドテーブル*1」は、これまでの「株主資本主義」を批判した文書を発表し、地域社会を含めたステークホルダーを重視する方針を表明しています。


*1ビジネス・ラウンドテーブル

アップルからウォルマートまで米国の主要企業が名を連ねる財界ロビー団体。彼らは、2019年に企業経営の原則とされていた「株主資本主義」を批判し、「ステークホルダー資本主義」への転換を宣言した。そして、宣言は「どのステークホルダーも不可欠の存在である。私たちは会社、コミュニティー、国家の成功のために、その全員に価値をもたらすことを約束する」で締めくくられた。



投資判断指標の変化

投資判断指標として「人的資本」を評価する傾向が強まっています。従来、財務的な指標が株価に反映されてきましたが、1990年代以降、非財務的な資本によって企業価値の8割が評価される方向へ変化しています。人的資本の拡充に寄与している会社に資金も資本も集まる、という市場が始まっています。



労働市場の変化

企業のビジネスモデルは、製造業から知識労働へ移行が進み、そこで働く人の経験やスキルなどの人的資本が経営に大きな影響を与えています



人的資本の重要性が高まる昨今、人的資本を高め、社内外に向けてその情報を開示していくことが重要です。経営戦略の実現、さらには企業価値の向上を目指して人的資本を高めていきましょう。